法定相続情報証明書?
専門職の業界で話題騒然の「法定相続情報証明書」(仮称)ですが…。
相続の権利を持つ人(相続人)全員の氏名や本籍などの情報をまとめた証明書を発行する制度を法務省が始める。これまでは不動産や預金を相続する際、各地の法務局や金融機関にそれぞれ全員分の戸籍などを提出する必要があったが、一度必要な書類をそろえて法務局に提出すれば、以後は証明書1枚で足りるようになる。
過剰な期待が沸騰してる向きもあって(専門家含め)何だかなって感じですが、要するに銀行向けに「戸籍チェック負担だろ? 俺たち法務局が肩代わりしてやるから、その代わり不動産を持ってる相続人に相続登記をするよう説得してくれよ」という話。
別に戸籍の取り寄せがスキップできるわけじゃないし、遺産分割協議の手伝いを法務局がしてくれるわけじゃないし(ここの勘違いで登記所の無料相談ブースが今以上に荒れるだろうw)、不動産登記手続きの一環だから銀行手続きオンリーの人は対象にならない(仮になったとしても歓迎されざる客だろう。)。
専門職が作成した戸籍+戸籍の附票から読み取れる事実をこつこつ正確に転写して見栄え悪くなくまとめた図表に、その記載内容に誤りがない旨を法務局長の職印の押印を以て確認するだけの書類で、これで助かるのは基本的に大量な相続処理に頭を抱えてる金融機関だけなんだけど、削減される社会コストは馬鹿にならないので、直接メリットがあるわけじゃない相続人の方々も是非協力してあげてほしいなあ。
自治体首長の解散権と小池候補の公約
舛添要一前東京都知事の辞職に伴う知事選(14日告示、31日投開票)で、自民党の小池百合子元防衛相(63)は6日、国会内で記者会見し、「政策を論じる時間もなくなる。客観的、自らの意志で総合的に判断した」と述べ、正式に立候補を表明した。小池氏は公約として、「都議会の冒頭解散」などを掲げた。
ということなんですが、おそらく小池氏とのそのブレーンには、内閣総理大臣の無限定な議会解散権を念頭においているのでしょうが、地方自治法における首長の権限はもっと制限的です。
第百七十八条 普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。
(3) 前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第一項の場合においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。
不信任決議案を提出し決議するのは議員、議会の権能ですから、それを都知事がとやかく言っても仕方ないはずです。昭和23年衆議院のいわゆる馴れ合い解散のように双方で事前合意がなされれば別ですが…。
それでは小池都知事(仮)は就任早々公約を破るより仕方ないのか? もちろん出来ないことをやると言ってるのだから無理って話ですが、小池都知事(仮)が都議会冒頭に都知事信任決議案を出してみる手は無くもないかもしれません。要するに
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
からの連想ですね。
解散して都議会議員選挙をやって選挙の後に元議員や住民が解散と選挙無効の行政訴訟を起こしたとしても、裁判所もおいそれと無効を認めるわけにはいかないでしょうし、裁判に4年以上掛かれば次の選挙も終わって「訴えの利益」も無くなるでしょうから、良いか悪いかといえばそりゃ無理筋ですが、どうせ逃げ切れると思えば、この裏技を使うのかなと思いますね。
いまさら公約を撤回するよりマシでしょうし・・。