自治体首長の解散権と小池候補の公約

舛添要一東京都知事の辞職に伴う知事選(14日告示、31日投開票)で、自民党小池百合子元防衛相(63)は6日、国会内で記者会見し、「政策を論じる時間もなくなる。客観的、自らの意志で総合的に判断した」と述べ、正式に立候補を表明した。小池氏は公約として、「都議会の冒頭解散」などを掲げた。

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ということなんですが、おそらく小池氏とのそのブレーンには、内閣総理大臣の無限定な議会解散権を念頭においているのでしょうが、地方自治法における首長の権限はもっと制限的です。

 

地方自治法

第百七十八条  普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる

(3) 前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第一項の場合においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。

 

 

不信任決議案を提出し決議するのは議員、議会の権能ですから、それを都知事がとやかく言っても仕方ないはずです。昭和23年衆議院のいわゆる馴れ合い解散のように双方で事前合意がなされれば別ですが…。


それでは小池都知事(仮)は就任早々公約を破るより仕方ないのか? もちろん出来ないことをやると言ってるのだから無理って話ですが、小池都知事(仮)が都議会冒頭に都知事信任決議案を出してみる手は無くもないかもしれません。要するに

 

日本国憲法

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。 

 

からの連想ですね。

解散して都議会議員選挙をやって選挙の後に元議員や住民が解散と選挙無効の行政訴訟を起こしたとしても、裁判所もおいそれと無効を認めるわけにはいかないでしょうし、裁判に4年以上掛かれば次の選挙も終わって「訴えの利益」も無くなるでしょうから、良いか悪いかといえばそりゃ無理筋ですが、どうせ逃げ切れると思えば、この裏技を使うのかなと思いますね。

 

いまさら公約を撤回するよりマシでしょうし・・。